任意売却
離婚で新築を手放す…任意売却のメリット・デメリット、手続きを解説
投稿日:2024/08/22 更新日:2024/08/22
「まさか、こんなはずじゃなかったのに…」
人生の新しい章として、希望に満ちていた新築住宅の購入。
しかし、予期せぬ離婚という選択を迫られた時、住宅ローンという大きな負担が重くのしかかります。
そこで検討したい選択肢の一つが「任意売却」です。
この記事では、離婚によって新築を手放すことになった場合の任意売却について、メリット・デメリット、手続きを具体的に解説していきます。
これからの人生を前向きに歩むための道筋を見つけるためにも、ぜひ最後までお読みください。
離婚と新築住宅売却:任意売却という選択肢
「夢のマイホーム」が、まさか「離婚」の引き金になってしまうとは…。
近年、新築住宅の購入を機に、夫婦関係が変化し、離婚に至るケースが増加しています。
住宅ローンという大きな負担を背負う中で、「マイホームブルー」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
希望に満ちていた新築住宅が、なぜ離婚の原因になってしまうのか?
この章では、新築住宅購入後の離婚増加の背景にある「マイホームブルー」について解説し、住宅ローンが残った場合の選択肢の一つである「任意売却」について詳しく説明していきます。
新築住宅購入後、なぜ離婚が増える?「マイホームブルー」とは?
「夢のマイホーム」を手に入れた喜びも束の間、なぜか夫婦仲が悪化してしまう…。
新築住宅の購入後、このような状況に陥り、離婚に至るケースが増加しています。
その背景には、「マイホームブルー」と呼ばれる心理的ストレスの存在が指摘されています。
◯マイホームブルーとは?
マイホームブルーとは、新築住宅の購入を機に、精神的なバランスを崩してしまう状態のこと。
結婚に伴う精神的不安定を表す「マリッジブルー」と同様に、新生活への期待と現実のギャップや、環境の変化によるストレスが原因で起こると考えられています。
具体的には、以下のような症状が現れます。
・精神的な不安定: 理由もなく不安になったり、気分が沈んだり、イライラしやすくなる。
・身体的な不調: 食欲不振、不眠、頭痛、疲労感など。
・夫婦間のコミュニケーション不足: 会話が減り、些細なことでケンカになる。
◯新築住宅購入で「マイホームブルー」になってしまう原因
マイホームブルーを引き起こす原因は、人それぞれですが、主に以下のような点が挙げられます。
・住宅ローンによる経済的なプレッシャー:
何千万円、場合によっては億単位のローン返済は、想像以上の負担となり、精神的なストレスに繋がります。
生活レベルを落とさざるを得ない状況になったり、将来への不安から、夫婦関係が悪化することもあります。
・マイホームという大きな決断による心理的な負担:
人生最大の買い物と言われるマイホーム購入は、大きな決断であるがゆえに、精神的なプレッシャーも大きくなります。
特に、住宅ローンという大きな責任を共有することで、夫婦関係に変化が生じることがあります。
・住み始めてから気づく家の欠点や後悔:
・モデルルームや間取り図では分からなかった、日当たりや風通し、収納スペースの不足など、実際に住んでみて初めて気づく問題点は少なくありません。
・簡単に引っ越しできない状況下で、家の欠点に不満が募り、夫婦関係に悪影響を及ぼすこともあります。
◯しかし、現実は「こんなはずじゃなかった…」と後悔する結果に。
マイホームブルーによって夫婦関係が悪化し、新築住宅を手放さざるを得ない状況に追い込まれるケースも少なくありません。
特に、住宅ローンが残っている場合は、離婚後の生活設計を大きく左右する問題となります。
住宅ローンが残ったままの離婚、新築住宅はどうする?
離婚という選択をした時、住宅ローンが残ったままの新築住宅は、夫婦にとって大きな悩みの種となります。気持ちが沈んでいる中、住宅ローンという現実的な問題に直面し、途方に暮れてしまう方もいるのではないでしょうか?
「住宅ローンが残っているから離婚できない…」
「この家はどうすればいいの?」
そんな疑問や不安を抱えている方もいるかもしれません。
しかし、住宅ローンが残っているからといって、離婚を諦める必要はありません。
住宅ローンが残ったままの離婚で、新築住宅をどうするかの選択肢としては、大きく分けて以下の2つが考えられます。
1.住宅ローンを返済しながら、夫婦どちらかが住み続ける
2.任意売却をして、住宅ローンを減額した上で売却する
それぞれメリット・デメリットがあるので、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
1. 住宅ローンを返済しながら、夫婦どちらかが住み続ける
経済的に問題がなく、どちらかが住み続けることに抵抗がなければ、この方法を選択できます。
しかし、感情的な問題や、将来的なライフプランの変化によって、住みにくくなる可能性も考慮する必要があります。
2. 任意売却をして、住宅ローンを減額した上で売却する
住宅ローンの支払いが困難な場合、任意売却という選択肢があります。
任意売却とは、住宅ローンを支払っている金融機関の同意を得て、市場価格で住宅を売却することです。
売却金額が住宅ローンの残債に満たない場合でも、金融機関との交渉により、残債を減額してもらえる可能性があります。
任意売却は、競売に比べて以下の様なメリットがあります。
・市場価格での売却が可能: 競売よりも高値で売却できる可能性があり、残債を減らせる可能性が高くなります。
・プライバシーの保護: 競売と異なり、近隣に知られずに売却を進めることができます。
・売却時期や条件を調整できる: 金融機関と相談の上、売却時期や条件を調整することができます。
任意売却について詳しくは、後の章で詳しく解説します。
離婚と住宅ローン、新築住宅の問題は複雑で、状況に合わせて最適な解決策を見つけることが大切です。
一人で抱え込まず、専門家である弁護士や不動産会社に相談し、状況を整理した上で、最適な選択をしましょう。
離婚時に新築を任意売却するメリット
離婚という状況下で、住宅ローンを抱えた新築を手放すことは、大きな決断を伴うものです。
しかし、任意売却は、住宅ローン問題を解決し、新たなスタートを切るための有効な手段となりえます。
任意売却には、競売とは異なる様々なメリットが存在します。
この章では、離婚時に新築を任意売却するメリットについて、詳しく解説していきます。
メリット1: 競売よりも高値で売却できる可能性
任意売却は、競売と異なり、売主が不動産会社と協力して売却活動を行います。
そのため、市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、結果として住宅ローンの残債を減らせる可能性が高まります。
競売は、裁判所が介入して強制的に売却が行われるため、市場価格よりも低い価格(市場で普通に売却した場合と比べて約6~7割り程度の金額)で落札されるケースが少なくありません。
一方、任意売却は、売主の意向を反映しながら売却活動を進めることができるため、より高値での売却が期待できます。
また、任意売却では、売主が購入希望者と交渉する機会もあります。
購入希望者によっては、物件の状態や周辺環境などを考慮して、市場価格よりも高い価格で購入を検討してくれる場合もあります。
このように、任意売却は競売に比べて高値での売却の可能性があり、住宅ローンの残債を少しでも減らしたい方にとって大きなメリットと言えるでしょう。
メリット2: 連帯債務者や連帯保証人を外すことができる
夫婦で住宅ローンを組む場合、夫が借入名義人、妻が連帯債務者や連帯保証人となるケースが一般的です。
しかし、離婚によって夫婦の関係が解消された後も、この連帯債務や連帯保証人の責任は残ってしまう可能性があります。
連帯債務とは、住宅ローン債務を夫婦それぞれが負うものであり、どちらか一方に支払いが滞ると、もう一方に全額の支払義務が発生します。
連帯保証人も同様で、名義人が支払えなくなった場合、代わりに全額を返済する義務を負います。
つまり、離婚後に元夫が住宅ローンの支払いを滞らせると、元妻に一括返済が求められるという事態も起こりうるのです。
任意売却では、住宅ローンを支払っている金融機関との交渉を通して、これらの連帯債務や連帯保証人を外せる可能性があります。
つまり、任意売却によって、元夫の住宅ローン問題から解放され、将来的な金銭的なリスクを回避できる可能性があるのです。
離婚後の生活再建のためにも、ご自身を守り、安心して再出発するためにも、任意売却による連帯債務者や連帯保証人の解除を検討する価値は大いにあると言えるでしょう。
メリット3: プライバシーを守りながら売却できる
離婚というデリケートな問題を抱えている時、近隣に知られずに住宅を売却したいと考えるのは当然のことです。
任意売却は、プライバシーを守りながら売却活動を進められる点も大きなメリットです。
競売の場合、裁判所が介入するため、官報に掲載されたり、物件情報がインターネット上に公開されたりします。
そのため、近隣住民や職場関係者に知られてしまう可能性も否定できません。
一方、任意売却は、不動産会社と相談しながら、売却情報を限定的に公開することができます。
例えば、不動産ポータルサイトへの掲載を控える、内覧を希望者だけに限定するなど、売主の意向に沿った方法で売却活動を進めることが可能です。
離婚というプライベートな事情を周囲に知られることなく、静かに新生活をスタートさせたいという方にとって、任意売却は最適な選択肢と言えるでしょう。
離婚時に新築を任意売却するデメリット
任意売却は、住宅ローンを抱え、離婚という状況下で新築を手放す際に有効な選択肢となりえます。
しかし、任意売却にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
任意売却を選択する前に、デメリットについても十分に理解しておくことが大切です。
この章では、離婚時に新築を任意売却するデメリットについて解説していきます。
これらのデメリットを踏まえ、ご自身の状況を冷静に見極め、専門家への相談も活用しながら、任意売却を進めるかどうかを判断していくことが重要です。
デメリット1: 信用情報に影響が出る可能性
任意売却は住宅ローンを完済せずに住宅を手放す方法ですが、任意売却を行うためには、住宅ローンを一定期間、遅延・滞納していることが必須条件となります。
つまり、住宅ローンを滞納していなければ、任意売却を行うために、わざと滞納することになるのです。
しかし、住宅ローンを一定期間滞納すると、信用情報機関のブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリストに載ると、現在使用しているクレジットカードが使えなくなるだけでなく、その後約5年間は新たなローンを組むことができなくなります。
任意売却後も、生活再建のために、クレジットカードやローンを利用する場面が出てくる可能性も考えられます。
任意売却を選択する前に、ブラックリストに登録されることによる影響を理解し、慎重に検討する必要があります。
デメリット2: 残債が残る可能性、その後の返済義務
任意売却は、市場価格で住宅を売却するため、売却金額が住宅ローンの残債に満たない場合、残債が残ってしまう可能性があります。
残債が残った場合でも、金融機関との交渉によっては、残債の一部を免除してもらえるケースもあります。
しかし、残債の全額が免除されることは稀であり、多くの場合、残債の一部の支払いは継続していく必要があります。
任意売却後に残った住宅ローンの残債は、毎月の返済額や返済期間について金融機関と改めて交渉し、無理のない返済計画を立てることになります。
例えば、月々の返済額を減額してもらったり、返済期間を延長してもらったりするなど、状況に合わせて柔軟に対応してくれる金融機関もあります。
しかし、残債の返済義務が残ることは、経済的な負担が続くことを意味します。
任意売却後に、安定した収入を得られる見込みがあるのか、無理なく返済を続けていけるのか、しっかりとライフプランを検討する必要があるでしょう。
デメリット3: 債権者との交渉、手続きの手間
任意売却は、住宅ローンの債権者である金融機関の同意を得る必要があり、交渉や手続きに手間と時間がかかるというデメリットがあります。
任意売却を進めるためには、まず、金融機関に対して、任意売却の希望を伝え、交渉を開始する必要があります。
金融機関は、住宅ローンの返済状況や物件の価値などを考慮し、任意売却を許可するかどうかを判断します。
任意売却が認められるまでには、何度も金融機関と交渉を重ね、必要な書類を提出するなど、多くの時間と労力を要します。
また、任意売却の手続きには、不動産の売却活動や契約手続きなど、専門的な知識が必要となる場面も出てきます。
そのため、任意売却に強い不動産会社や弁護士などの専門家のサポートを受けることが一般的です。
専門家に依頼することで、手続きがスムーズに進みやすくなるというメリットがある一方、費用が発生するという点も考慮する必要があります。
任意売却は、決して簡単な手続きではありません。
しかし、専門家のサポートを受けながら、一つずつ手続きを進めていくことが、任意売却を成功させるための鍵となるでしょう。
離婚時の新築任意売却、成功のためのポイント
任意売却は、住宅ローン問題を解決し、離婚後の新たなスタートを切るための有効な手段となりえます。
しかし、任意売却は、複雑な手続きを伴うものであり、適切な知識と準備なしに進めてしまうと、希望通りの結果を得られない可能性もあります。
この章では、離婚時の新築任意売却を成功に導くためのポイントを解説していきます。
これらのポイントを押さえ、しっかりと準備を進めることで、スムーズな任意売却を実現し、より明るい未来へと進んでいきましょう。
ポイント1: 早期に専門家へ相談、状況把握を
任意売却は、住宅ローンや不動産に関する専門的な知識が必要となる複雑な手続きを伴います。
そのため、できるだけ早く専門家に相談し、現在の状況を客観的に把握することが、任意売却を成功させるための最初のステップとなります。
任意売却の相談相手としては、以下の専門家が考えられます。
・任意売却を得意とする不動産会社: 不動産会社の中でも、任意売却に特化した知識と経験を持つ会社を選ぶことが重要です。物件の査定や売却活動、金融機関との交渉などをスムーズに進めるためのノウハウを持っています。
・弁護士: 任意売却に関する法的アドバイスや、債権者との交渉などを代理で行ってくれます。
・ファイナンシャルプランナー: 住宅ローンの返済計画の見直しや、家計の状況を踏まえたライフプランの相談に乗ってくれます。
専門家は、それぞれの立場から、状況に合わせた適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
一人で抱え込まず、複数の専門家に相談することで、より多角的な視点から問題解決を図ることが可能になります。
特に、離婚問題が絡む場合は、感情的な問題も発生しやすく、冷静な判断が難しくなる場合もあります。
早期に専門家に相談することで、問題を早期に発見し、適切な対応策を検討することができます。
焦らず、まずは専門家の意見を聞きながら、状況を整理し、今後の計画を立てていきましょう。
ポイント2: 夫婦間で協力、合意形成が重要
離婚という、夫婦にとって非常にデリケートな問題と並行しながら任意売却を進めるには、感情的な衝突も予想されますが、冷静に話し合い、協力し合うことが何よりも重要です。
任意売却は、住宅ローンを夫婦双方で負っている場合、お互いの同意がなければ進めることができません。
どちらか一方だけが積極的に行動しても、もう一方が反対すれば、手続きはストップしてしまいます。
まずは、お互いの状況や希望を理解し、共通認識を持つことが大切です。
「任意売却という選択肢を選んだ理由」「今後の生活設計」「住宅ローンの返済について」など、重要なポイントについて、時間をかけて話し合いましょう。
話し合いが難しい場合は、第三者に間に入ってもらうのも有効です。
弁護士やファイナンシャルプランナーなど、専門家の力を借りながら、冷静に話し合いを進めることができます。
任意売却は、夫婦が協力し、未来へ向かって進むための第一歩となるはずです。
感情的にならず、建設的な話し合いを心がけましょう。
ポイント3: 売却活動と並行した生活再建プラン
任意売却を進めながら、同時に進めていかなければならないのが、離婚後の生活再建プランです。
住居の問題だけでなく、経済的な問題、子どものことなど、考慮すべき点は多岐に渡ります。
まずは、離婚後の生活費をどのように工面していくのか、しっかりと計画を立てる必要があります。
任意売却で住宅ローンが残った場合は、その返済計画も検討しなければなりません。
また、離婚後、どちらが子どもを引き取るのか、面会はどうするのかなど、子どもに関する問題も重要なポイントです。
子どもの生活環境が大きく変わる可能性もあるため、子どもの気持ちを尊重しながら、慎重に決めていく必要があります。
住居については、任意売却が成立するまでの間、そして、売却後、どこに居住するのかを決める必要があります。
賃貸住宅を借りる場合、初期費用や毎月の家賃など、事前に資金計画を立てておくことが大切です。
離婚は、人生の大きな転換期です。 任意売却をスムーズに進め、新たなスタートを切るためにも、生活再建プランをしっかりと準備しておきましょう。
弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、具体的なプランを立てていくことをおすすめします。
まとめ:離婚後の新生活に向けて
離婚という選択は、人生における大きな転換期であり、様々な困難を伴うものです。
特に、新築住宅の購入という大きな決断をした後であれば、住宅ローンという大きな負担が、更なる不安やストレスを与える要因となるでしょう。
しかし、住宅ローンが残っているからといって、未来への希望を諦める必要はありません。
任意売却という選択肢を正しく理解し、専門家のサポートを受けながら、手続きを進めていくことで、新たなスタートを切ることができます。
任意売却は、あくまで解決策の一つです。 重要なのは、ご自身の状況をしっかりと把握し、最適な選択をすることです。
一人で抱え込まず、専門家や周りの人に相談しながら、一歩ずつ、未来へ向かって進んでいきましょう。
離婚という経験を乗り越え、より豊かな人生を築くことができるよう、心より応援しています。
大学時代に自営業を営んでいた実家が競売直前に売却することなってしまった経験から「住宅ローンについて相談する場所が必要!」と痛感し、非営利団体を設立し『住宅ローン無料相談所』を開設しています。
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