コラム
住宅ローン「フラット35」を利用中の任意売却!注意点と成功の秘訣
投稿日:2024/03/07 更新日:2024/03/21
はじめに:フラット35の概要と記事の目的の紹介
本記事では、住宅ローン「フラット35」を利用中の方々が、自身の不動産を任意売却する際の注意点や成功の秘訣を詳しく解説していきます。
フラット35とは、金利が低く一定期間(35年)同じ金利で返済が可能な住宅ローンの一種で、多くの家庭で選ばれています。
しかしながら、フラット35を組んでいる途中で自宅を売却することは可能なのでしょうか?
また、売却する際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?
これらの疑問について、事例を交えながら詳しく解説していきます。
フラット35を利用中の方や任意売却を考えている方、またこれから住宅ローンを組む予定のある方にとって有益な情報を提供することが本記事の目的です。
ぜひ最後までお読みいただき、自身の住宅ローンや不動産売却についてより深く理解し、適切な選択ができるようになっていただければ幸いです。
フラット35を利用中の任意売却
それでは、住宅ローン「フラット35」を利用中の方が、万が一自宅を売却しなければならなくなった場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか。
また、フラット35を組んでいる途中で任意売却を行うことは可能なのでしょうか?
そこで本章では、フラット35を利用中の方が任意売却をする際の実際のフローや注意点、さらには売却後の住宅ローンの対応について解説していきます。
まずは自宅の売却が可能かどうかから見ていきましょう。
フラット35を組んでいる途中で自宅を売却できるのか?
フラット35を利用中であっても、任意売却は可能です。
しかし、売却を決定する前に幾つかの注意点があります。
まず一つ目は、住宅ローンの残債と不動産の価格です。
任意売却による売却価格が住宅ローン残債を下回らないか、しっかりと確認が必要です。
売却価格が住宅ローン残債を下回ると、売却後もローンを返済し続けなければならない「負債残」の状況になります。
また、売却後の生活設計も重要なポイントとなります。
新たな住まいをどうするか、またそのための費用はどう捻出するか等、具体的な計画を立てることが肝心です。
以上の点を考慮しながら、任意売却の適否を慎重に判断することが必要となります。
適切な判断をせずに売却を進めてしまうと、予想外の問題を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
任意売却時の売却代金による住宅ローン完済
任意売却の際、主な目的はその売却代金を用いて住宅ローンの支払いを完済することです。
しかし、これがスムーズにいくかどうかは、売却価格と住宅ローン残債のバランスに大きく左右されます。
フラット35の場合、任意売却による売却価格が住宅ローン残債を下回ると、「負債残」の状況に陥る可能性があります。
つまり、自宅は売却したものの、まだ住宅ローンが残り続け、引き続き返済を続けなければならない状況になります。
逆に、売却価格が住宅ローン残債を上回る場合は、売却代金で住宅ローンを完済し、余った金額を新しい住居の購入や生活費などに充てることが可能です。
ただし、不動産の価格は常に変動しているため、任意売却を決定するタイミングによっては売却価格が思うように上がらないこともあります。
このように、任意売却を行う際には売却価格と住宅ローン残債のバランスをよく見極めることが重要です。
不動産の価格や市場状況を理解し、適切なタイミングで売却を進めることで、最終的な金額的負担を軽減することが可能となります。
住宅を住み替える場合のローン対策
任意売却後に新たな住宅を購入する場合、ローン対策が重要となります。
まず、売却代金が住宅ローン残高を上回った場合、その差額を新たな住宅購入の資金に充てることが可能です。
しかし、売却代金が住宅ローン残高を下回った場合、新たな住宅の購入費用をどのように捻出するか計画する必要があります。
2020年の法改正により、フラット35を含む住宅ローンにおいて、2本の住宅ローンを同時に持つことは難しくなりました。
この法改正は、過度な借入を防ぐことを目的としており、借り手の負担を軽減する一方で、ローンの取り扱いにはより注意が必要となりました。
ですので、任意売却による売却代金が住宅ローン残債を下回り、「負債残」の状況に陥った場合、新たに住宅ローンを組むことは難しくなっています。
そのため、「負債残」がある場合は、売却後の住まいについては新たにローンを組むのではなく、賃貸を選択し、住宅ローンを完済後収入状況が安定していたら、再度住宅ローンを組んで住宅購入を考える、という選択もあります。
フラット35を利用中の任意売却の注意点
フラット35を活用して自宅を手に入れたものの、何らかの理由で任意売却を考える場合があります。
その際には、ただ単に売却すれば良いわけではありません。
ローン残高と不動産の価値、売却後の住まい、税金の問題など、多くの点を注意深く考える必要があります。
ここでは、フラット35を利用中の方が任意売却を行う際の注意点を3つ紹介します。
これらを把握し、計画的な動きをすることで、スムーズな売却の一助になれば幸いです。
ローン残高と不動産の価値
最初に注意すべき点は、ローン残高と不動産の価値の関係です。
任意売却とは、自宅を売却し、その代金でローンを返済する手段です。
しかし、自宅の価値がローン残高を下回ってしまっている場合、全額返済することは難しくなります。
このようなケースでは、売却後もローンを返済し続ける必要があるため、売却を決定する前には、まず不動産の価値とローン残高を把握し、それらがどれくらいのバランスになっているのかを確認することが重要です。
また、不動産の価格は市場状況や物件の立地、築年数などによって変動するため、売却をお考えの方は定期的に価値を見直すことをおすすめします。
売却後の住まいの問題
次に考慮すべきは売却後の住まいの問題です。
任意売却を行う場合、通常はその物件を手放すことになりますので、新たな住まいを見つける必要があります。
別の物件を所有している、または賃貸物件に住む準備ができている場合は問題ありませんが、そうでない場合、売却が完了する前に新たな住居を確保することが必要です。
また、住宅ローンが残っている状態で新たな住居を探す際には、その負担を考慮した上で生活設計を立てることが大切です。
一時的に友人や親戚の家に身を寄せる、一時的に賃貸に住むなど、様々な選択肢が考えられます。
どの選択肢を選ぶにせよ、早めの準備と計画が求められます。
税金の問題
最後に注意すべきは税金の問題です。
任意売却をした際、売却価格が購入価格を上回ると「譲渡所得」が発生し、それに対して所得税と住民税の「譲渡所得税」が課されます。
ただし、一定の要件を満たす場合は特例が適用され、税金を軽減できる可能性もあります。
また、任意売却を検討する背景には、住宅ローンの滞納があることが多く、その場合、固定資産税や都市計画税など、その他の各種税金の滞納も見受けられます。
これら未払いの税金は、売却代金から優先的に支払われることがあります。
このような税金の問題は混乱を招きがちで、適切に管理しなければ、売却が完了した後に手元に残る金額が予想以下になる可能性もあります。
したがって、税金の問題を適切に解決するためには、業者や税務専門家の意見を必ず求めるべきです。
それにより、予想外の税金負担を避け、円滑な任意売却を進めることが可能となります。
フラット35を利用中の任意売却成功の秘訣
フラット35の任意売却に注意すべきポイントを理解した上で、具体的にどのように進めれば成功へと繋がるのか、その秘訣を探ることが次のステップとなります。
任意売却は適切なタイミングの見極めが重要であり、また信頼できる不動産会社の選び方も成功に大いに影響します。
ここでは、フラット35を利用している方が任意売却を成功させるための秘訣を、具体的な例を交えてご紹介します。
これらのポイントを押さえつつ進めれば、ローンと住まいの問題を円滑に解決し、新たな生活へと踏み出す一助となるでしょう。
任意売却に適したタイミング
任意売却の成功にはタイミングが非常に重要です。
任意売却を考える理由は様々ですが、例えばローンの返済が難しくなった時、早急に行動することが望ましいです。
早めに行動に移すことで、売却価格がさらに下落する前に物件を売却でき、ローン残高を少しでも早く減らすことが可能となります。
また、不動産市場が活況の時期に売却を行うと、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
物件の価値は地域や市場状況により大きく左右されるため、不動産価格の動向を常にチェックし、最適な時期を見極めることが大切です。
しかし、タイミングだけでなく、自身のライフプランや経済状況も考慮に入れる必要があります。
例えば新しい住まいをすぐに確保できるのか、また売却後の生活設計はしっかりと立てられているのか、等の確認も欠かせません。
これらの要素を総合的に考慮して、自身にとって最適なタイミングを見極めましょう。
信頼できる不動産会社の選び方
不動産の任意売却は専門的な知識を必要とし、また手間もかかります。
そのため、任意売却の経験が豊富で、信頼できる不動産会社をパートナーとして選ぶことは極めて重要です。
良い不動産会社を選ぶためのポイントはいくつかあります。
まず一つ目は、経験豊富なスタッフが在籍しているかを確認することです。
任意売却は複雑な手続きが多く、経験と知識が必要です。
そのため、任意売却に経験豊富な不動産会社を選ぶと安心です。
任意売却の経験が乏しい不動産会社も多いため、直接相談する際には任意売却の経験がどれほどなのかについて直接尋ねるのも良いでしょう。
二つ目は、顧客の利益を最優先に考えてくれるかどうかです。
不動産会社には物件を高く売るためのノウハウがありますが、それだけでなく、売却者の生活設計や将来の計画に配慮した提案ができる会社が理想的です。
三つ目は、評判や口コミです。
実際にその不動産会社を利用した人々の意見を参考にすることは非常に有益です。
良い評判や口コミが多い会社は、信頼性が高いと言えるでしょう。
これらのポイントを考慮して、信頼できる不動産会社を選びましょう。
より良い条件での売却、スムーズな手続きの進行、そして売却後の安心感を得るためにも、適切な選択が肝心です。
任意売却の成功例
ここでは、任意売却の成功例として、野村さん(仮名)のケースをご紹介します。
野村さんは10年前、親御様が所有していた横浜市神奈川区の土地に一戸建てを建て替え、フラット35の固定金利で住宅ローンを組みました。
しかし、共働きだった奥様が親御様の入院をきっかけに仕事を辞めざるを得なくなり、収入が大幅に減少。
その結果、住宅ローンの返済が難しくなり、3回も延滞してしまいました。
任意売却を検討するきっかけとなったのは、この3回目の延滞時点でした。
野村さんは、「住宅ローンを延滞しているものの住み続ける方法がないか?」との思いから、私たちにご相談に来ました。
私たちの提案は、住宅金融支援機構の住宅ローンの「条件変更」で返済期間を延ばす方法と、債務整理を行いカードローンの返済額を圧縮する方法の2つでした。
そして、この2つの提案を実行した結果、住宅ローンの返済額が下がり、さらにカードローンの返済額も大幅に圧縮。
これにより、野村さん一人の収入だけでも返済が可能となり、一戸建てに住み続けることができました。
この事例から、住宅ローンの返済が難しくなった場合でも、適切な対策を講じることで成功へと導くことが可能であることをご理解いただければ幸いです。
まとめ
フラット35の住宅ローンを利用しながら任意売却を検討する場合、さまざまな注意点があります。
ローン残高と不動産の価値のバランス、売却後の住まいの確保、そして税金の問題など、きめ細やかな計画と対策が求められます。
また、売却に適したタイミングを見極め、信頼できる不動産会社を選び、その他の具体的な成功例を参考にすることも重要です。
野村さんの事例では、返済が難しくなった状況下でも、住宅ローンの条件変更や債務整理といった方法を駆使して、売却せずに住み続けるという結果を得ることができました。
住宅ローンが困難になった時でも、あきらめずに適切な対策を講じることで、最善の解決策を見つけ出すことが可能です。
一戸建てやマンションなどの不動産は、多くの人にとって最大の財産であり、生活基盤です。
そのため、フラット35や任意売却といった手段を活用しつつ、賢く、計画的に動くことが大切です。
この記事が、皆様の住宅ローンや任意売却に関する理解を深め、より良い選択をする一助となれば幸いです。
大学時代に自営業を営んでいた実家が競売直前に売却することなってしまった経験から「住宅ローンについて相談する場所が必要!」と痛感し、非営利団体を設立し『住宅ローン無料相談所』を開設しています。
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