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リースバックを成功させたいなら絶対に知っておくべき事
投稿日:2020/01/20 更新日:2023/08/03
「売却後もそのまま住み続ける事ができる」
「まとまった資金が得られる」
という事で、任意売却をされる方や借金の返済、税金の支払い、事業資金に充当するために選択される事が多いのがリースバックです。
確かにリースバックなら売却後も引っ越しする必要もなく、そのまま住み続ける事ができますし、周囲の方に家を売却した事を知られたりするリスクもありません。
そして、収入が安定した後にあとでもまた買い戻す事ができるというメリットもあります。
ですが、リースバックをするにあたっては、注意しておいて欲しいポイントがいくつかあります。
というのも、この事を知っておかないと、リースバックをしても毎月の支払額が多く生活が苦しくなってしまう事もありますし、長期間住み続ける事ができず、わずか2~3年で退去せざるをえない、そもそもリースバック自体ができないといったトラブルが発生してしまう事になります。
そこで、このページではリースバックを成功させたいなら絶対に注意しておくべきポイントや課題、そして、どうやって課題を解決してリースバックを成功させるのか?についてお伝えして行こうと思います。
そもそもリースバックとは?普通の任意売却と何が違うのか?
まず最初に、そもそもリースバックとは何なのか?
通常の売却や任意売却と何が違うのか?を簡単におさらいしておきたいと思います。
通常の売却・任意売却では買主がその物件に住んだり、利用する目的で購入するのに対して、リースバックでは買主が不動産投資目的でその物件を購入する事になります。
つまり、買主はあなたの家を賃貸用物件などとして活用し、その物件から収益を上げていく事を目的として購入します。
そのため、売却時に買主と賃貸借契約を結び、毎月賃料を支払い続ける事で引越し等をする事なく、そのまま住み続ける事ができる仕組みになっています。
売却した事が周囲に知られる心配もありませんし、しかも、後々には買い戻す事もできるというメリットがあります。
ですが、この「不動産投資目的」である事が原因で、以下のような問題やトラブルが起きてしまう事になります。
問題①そもそもリースバックができない可能性がある
実はリースバックは希望すれば誰でも受けられる・・・というものではありません。
特に不動産リースバック業者に売却を依頼する際は、もし、市場価格<住宅ローン残高 の場合だとリースバックを引き受けてもらう事ができません。
この場合、売却額をローン返済に充当しても完済ができないので、残債の支払いと家賃の支払いが二重に発生する事になります。
そうなると、当然支払いが継続できなくなる可能性が高いので、不動産リースバック業者は審査に通してくれず、リースバックが成立しない事があります。
そもそも、任意売却を検討する方はローン残債が市場価格より多いケースがほとんどなので、こういったケースではリースバック業者に買取をしてもらうのは難しくなります。
そのため、リースバックをするのであれば、不動産業者に買主である投資家を探してもらう事が必要になります。
問題② 家賃が高い
リースバックで大きな問題になるポイントが毎月の家賃負担の大きさです。
リースバックではその性質上、毎月の家賃が比較的高くなってしまうという傾向にあります。
リースバック後の家賃は「投資利回り」によって決定される事になります。
相場では年率10%の投資収益率がベースになっているのですが、具体的に言うと、10年間で投資額の元が取れるように家賃を設定する事になります。
(この投資収益率は、立地条件、築年数などで前後します)
例えば、2000万円で売却した場合、2000万円を120ヶ月(10年)で回収できる家賃に設定することになるので、1ヶ月の家賃は2000万➗120=16.7万円となります。
正直、この家賃…高すぎると思いませんか?
特に、住宅ローンの支払いに困って売却を考えている方にとっては、せっかく売却しても場合によっては今まで支払ってきたローンより毎月の家賃の方が高くなってしまうという矛盾が生まれます。
そしてこの「家賃の高さ」が原因で色んな問題に発展していきます。
できるだけ毎月の家賃を下げるためには、売却額を下げる事を考える必要がありますが、売却額を下げると今度はローンの残債が多く残ってしまう事になります。
そのため、家賃は安くなっても今度はローン残債の支払い額が多くなるので、結局2重の支払いで生活が苦しい状態になってしまいます。
家賃を支払い続ける事が困難になれば、当然退去を余儀なくされてしまいます。
また、家賃を滞納してしまうと「買い戻し」もできなくなってしまうというリスクもあります。
将来的に収入が安定したところで、また家を買い戻したいと考えてリースバックを選択される方も多いのですが、この「買い戻し」が実行できるのは、あくまで契約内容をと履行している場合、つまり家賃をちゃんと支払い続けている場合に限られます。
そのため、家賃を滞納してしまうと契約の更新はもちろん、買い戻しをする事もできなくなってしまうので注意が必要です。
(でもまだ諦めないで下さい。たとえ売却額を引き下げた事で、ローン残債が残ったとしても、この問題を解決できる可能性があるので、最後まで読み進めて下さい)
問題③ あまり長く住めない場合がある
リースバックは家賃が高くなりがちなので、長期に渡って住み続けるのが難しいという事もあるのですが、そもそも買主の方から賃貸契約の更新を引き受けてもらえず、退去をせざるをえないという問題が起こることがあります。
その理由は、リースバックの賃貸契約が「1~2年の定期賃貸借」という短い契約形態になってしまう事に原因があります。
通常の賃貸借契約であれば、正当な理由がない限りは契約を更新し続ける事ができるのですが、この「定期賃貸借」の場合は期間満了により契約が終了する事になります。
もちろん、双方の合意のもとに再契約を結び、そのまま住み続けるという事も可能なのですが、買主によっては短期の転売目的で物件を購入する場合もあるため、契約内容をしっかり確認せずに契約してしまうと賃貸契約を更新させてもらえず、わずか1~2年で売却をされてしまい、退去を余儀なくされてしまうケースがあります。
問題④ 買い戻しの金額が売却額よりも高い
将来、買い戻しを希望する場合は、契約内容に「買い戻し」に関する事項を盛り込む事ができます。
買い戻しは賃貸契約をしている間、つまり自宅に住み続けている間であればいつでも買い戻す事ができるのですが、
※ただし、他の家に引越しをして賃貸契約を解除した場合は買い戻しの権利を失うので、注意が必要です。
買い戻し価格は、通常、売却価格の110%に諸費用が上乗せされた金額になる事がほとんどです。
つまり、2000万円で売却した場合の買い戻し金額は、2,200万円に諸費用を上乗せした金額になってしまいます。
この割高な価格設定とリースバック自体、家賃が高めになってしまう事でなかなか貯金ができずに、予定通りの時期に買い戻しができないという事につながってしまいます。
問題⑤ 買い戻しができないと退去させられてしまう事もある
もし契約時に予定していた時期に買い戻しができないとなると、定期賃貸借期間満了をもって退去をさせられてしまう事になってしまいます。
買主としてはせっかく売却前提で契約をしていたのに、買い取りできないのであれば、他に転売をして回収することを考えるのが普通ですよね。
どうすればリースバックを成功できるのか?
このように、リースバックをするにあたっては様々な問題やトラブルが発生することになるのですが、もちろんこれらの問題には対処法があります。
ここからはいかにして、リースバックにまつわる問題を取り除いて成功させるか?そのポイントについてご紹介していきます。
リースバックで成功するためのポイント①
残債を大幅に減額させる
まず、リースバックの家賃を下げるためには売却額をできるだけ抑える必要がある事をお伝えしました。ただ、売却額を抑えると、今度は残債の支払いが増えるという問題が発生するのですが、
この残債、、実は全額支払う必要はほとんどありません。
しかも、場合によっては数百万もの残債を一切支払う必要がなくなるというケースもあります。
なぜか?というと、ローン残債は債権者と交渉をすれば、ほとんどの場合で大幅に減額する事ができるからです。
これによって家賃を下げるために売却額を抑えたとしても、残債との二重支払いで生活に苦労する可能性を下げる事ができます。
リースバックで成功するためのポイント②
どんな契約ができるか?を事前に確認する
リースバックをした後、どれだけ長く住む事ができるか?
途中で契約を切られないようにするためにはどうすればいいのか?
買い戻し金額をできるだけ安くするにはどうすればいいのか?
これらの問題を解決するのは正直、「担当者のスキルにかかっている」といっても過言ではないでしょう。
担当者には、
売主側の条件をできる限り承諾してくれる不動産投資家の方をいかに見つけるのか?
そのための人脈の活用や販売戦略はもちろん、契約期間と更新、そして買い戻し金額など、売主にできるだけ不利にならない条件を盛り込んで契約をするための交渉術も必要になります。
とはいえ、担当者のスキルを見極めるのは簡単ではないので、リースバックを依頼する前には家賃を含め、契約期間、買い戻しの金額などについて、どういった契約内容を結べる可能性があるか?といった内容を業者に事前に確認し、詳しく話を聞いておく事が非常に重要です。
そしてその契約内容で、将来的に本当に問題ないのか?を検証する事が非常に重要です。
今後、負担すべき費用はもちろん家賃だけではありません。
状況が変わる事で様々な負担が増えていくことになります。
お子様の教育費はもちろん、増税、医療費の高騰、年金の減少、介護に関する問題もありますし、老後の生活も想定しておく必要もあります。
これはあまり言いたくはないですが、収入減やリストラなどのリスクが発生していくこともゼロではありません。
その結果、契約当時は問題なかったが、後々支払いが困難になり、生活が困窮してしまうというケースは少なくありません。
そのため、ファイナンシャルプランニングの知識に長けている担当者に相談し、色んなリスクを検証し、対策を練っておく事、契約内容を検証する事は非常に有効です。
こうした事が、リースバック後のトラブル発生を最小限にする「鍵」になります。
リースバックで成功するためのポイント③
できるだけ早めに任意売却業者に相談する
できるだけ良い条件でリースバックを進めるとなると、やはり良い買主を見つけることが重要ですし、契約内容が本当にそれでいいのか?を検証する事も重要です。
そして、その為にはある程度の時間が必要になります。
ところが、任意売却やリースバックを選択されるほとんどの方は、ギリギリまでなんとか自分で解決しようとし、問題が大きくなってしまうまで腰を上げない傾向が非常に多いです。
その結果、相談にこられた時点には、多重債務の状態になっていたり、督促状が届いていたり、競売の通知を受けてしまっていたりと問題が大きくなり、競売まで時間的猶予がほとんど無いというケースもあります。
こうなってしまうと、条件にあう不動産投資家を見つける時間、契約内容を煮詰めたり、検証するための時間を確保する事が困難になってしまうので、悪影響しかありません。
そのため、もし住宅ローンを滞納してしまったり、あるいは今後の支払いが厳しいという事であれば、できるだけ早い段階で相談をする事が成功の鍵になります。
リースバックで成功するためのポイント④
リースバック後のトラブルに対応してくれる業者を選ぶ
売却後、何かしらのトラブルが発生した場合はサポートをしてくれる業者を選ぶことも重要です。
契約時には無かった要求をされるなどのトラブルが発生し、問題になる事があります。(家賃の引き上げや退去を要求されるなど)
業者によっては「売却後のトラブルについては当事者同士で解決してください」としている業者もあるので、売却後、万が一トラブルがあった時にサポートしてくれるのか?
相談に乗ってくれるのか?なども予め確認しておくことをお勧めします。
まとめ
まずリースバックを行うにあたっては以下の問題、リスクに注意する必要があります。
●リースバックでは売却金額によって家賃が決まることになりますが、その金額は割高になってしまう傾向にあります。
ただ賃料を下げる為に売却額を下げると今度は残債額が多くなってしまうので、家賃とローン残債の二重支払いで生活が苦しくなってしまう可能性があります。
●もし家賃を滞納してしまうと退居をさせられてしまうのはもちろんですが、買戻しもできなくなってしまいます。
リースバックでの賃貸借契約の形態は「1~2年の定期賃貸借契約」となるのが一般的ですが、この契約形態が原因で期間満了と同時に退去を求められてしまうなどの問題が発生する可能性があります。
●買い戻し金額は通常、売却額の110%と割高になってしまうというデメリットがあります。
この事と、家賃が割高な事が影響して貯蓄ができず、買い戻しをする事ができないケースがあるのですが、契約であらかじめ決められていた時期に買戻しができないと、退居をさせられる事になります。
これらの問題を解決するには、
「どの業者を選ぶのか?」が非常に重要です
家賃を下げるために売却額を低くするのはもちろんですが、
結果、増えたローン残債を減額するための債権者との交渉をサポートしてくれるのか?
良い買主を探してくれるのか?
契約期間や家賃、買い戻しの条件についてどういった契約内容を期待できるのか?
契約内容を検証するためのファイナンシャルプランニングの知識は豊富か?
契約後、トラブルになった時に相談に乗ってくれるのか?サポートはしてもらえるのか?
といった事を事前に確認しておく事が、後悔しないリースバックをするためには非常に重要です。
また、買い戻しについては、本人が買い戻すのが困難になってしまうケースが多いので、将来的にお子さんに買い戻しをしてもらう事はできないか?といった事を検討しておくのも一つの方法です。
そして、その際には買い戻しについてお子さんへの詳しい説明や住宅ローンを組むための手続き等のサポートをしてくれるかどうか?も不動産業者に確認をしておきましょう。
そして、いい業者を見極めるためにも、できるだけ良い条件で契約を進めるためにも早い段階で相談をするなどの行動を始める事を強くお勧めします
【この記事を書いた人】
大学時代に自営業を営んでいた実家が競売直前に売却することなってしまった経験から「住宅ローンについて相談する場所が必要!」と痛感し、非営利団体を設立し『住宅ローン無料相談所』を開設しています。
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