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任意売却後の残った住宅ローンはどうすれば良いか?
投稿日:2019/11/26 更新日:2023/08/02
任意売却をして住宅ローン返済から解放されたいと思って、ネットを調べていても、残った住宅ローンの残債は、どうすればいいのかと思われているかもしれません。
任意売却後の残債についてまとめましたのでご覧ください。
任意売却をした後の住宅ローンの残債はどうなる?
結論から言えば、住宅ローン残高と売却額の差額は、任意売却をしてもなくなる訳ではありません。
任意売却をした後の住宅ローンの残債はどうなるのか?
売却後に残った残債分については、引き続き支払っていく必要があるのですが、この残債の支払いが売却後の家計を圧迫し、生活を厳しくする要因になってしまう事があります。
当然、新しい生活を始めるにも、転居先の家賃、引越代はもちろん、これまでと同じように食費や生活費が当然必要になるのですが、ここに毎月の残債支払いが上乗せされる事になると、家計は売却前と変わらず苦しいものになってしまいます。
特に、住宅ローンの他に、カードローンや教育ローンなどを抱えている場合などには、残債を支払い続ける事が困難になり、せっかく任意売却を成功させたにもかかわらず、最終的には自己破産を選択せざるを得ないというような状態になってしまう方も少なくありません。
ですが、いいニュースもあります。
というのも、任意売却後の残債額は大抵の場合で減額することができるからです。
さらに言うと、生活状況や金融機関との交渉次第によっては、残債を支払う必要がなくなるケースさえあります。
例えば、任意売却後に500万円の残債が残ってしまっていたある方は、今後の支払いをどうすればいいのか非常に悩まれていたのですが、今では残債を一切支払うことなく、住宅ローンの不安から一切解放されて第2の人生を歩んでいます。
もちろん、100%支払う必要がなくなる、、、という訳ではないですが、違法に支払い義務を逃れている訳ではありませんので、法的な責任を追求される(損害賠償請求等)の心配は一切ありません。
では、一体どうすれば、このように残債の支払いを減らす事ができるのでしょうか?
ここでは、任意売却を選択する人の多くが不安に感じている、「残債の支払い」についての不安をできる限り取り除く方法をお伝えしていきたいと思います。
任意売却後の残債支払いについて
まず、最初に任意売却後の残債はどのように支払っていくことになるのか?についてお伝えします。
任意売却をするにあたっては、まず「意図的」にローン支払いの滞納を続ける必要があります。
通常3回~6回滞納をすると、銀行側は、債務者が「これ以上住宅ローンを支払うことができない」と判断。
債務者は「期限の利益の喪失」という状態になります。
任意売却を行うには「期限の利益の喪失」状態になる事が必要で、この状態になる事ではじめて任意売却の手続きを進める事ができます。
この状態になると、本来、債務者が銀行に支払うべきだったローンは保証会社が全額銀行に支払う事になるので、(代位弁済)債権は銀行から保証会社に移行します。
ちなみに、住宅ローンの支払い先が住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の場合は支払い先はそのままです。
その後、保証会社や住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は抵当権に従い住宅を差し押さえて資金を回収するために競売の手続きを始めていきますが、任意売却を行う事で競売を回避する事ができます。
そして任意売却後の残債は保証会社等に支払っていく事になります。
ちなみに、この「期限の利益の喪失状態」とは一体どんな状態か?というと、今までのように住宅ローンを毎月分割して支払うという事ができなくなり、「残りのローンは一括で全額返済しなければならない」という状態になってしまった事を意味します。
「全額一括返済」と聞いて強く不安を感じてしまったかもしれませんが、安心してください。
そうは言っても、これはあくまで体裁的なもので、実際は一括で支払う必要は全くありませんし、そもそも全額を返済する必要さえありません。
一体なぜか?これからその理由について詳しく解説していきます。
なぜ残債は減額する事ができるのか?
まず、なぜ一括で支払う必要が無いのか?
そして、なぜ残債を減額することができるのか?という事ですが、答えは簡単です。
債権者側も簡単に現金を回収する事ができないと分かっているからです。
もちろん、法律的には一括払いをするのが基本なのですが、そもそも債務者は住宅ローンを支払い続ける事が困難なために任意売却を選択しているので、一括で返済する事が難しいという事は保証会社側も理解しているのです。
そのため、今後の支払方法やその金額については分割払いにする事が可能なのです。
しかも毎月の返済額は、給与やその他ローンの有無などを考慮して生活にできるだけ支障がない範囲に留める事ができます。
(毎月0.5~3万円などの範囲で)
ただ、相手も金融機関です。
資産状況はしっかりと調べられる事になってしまう為、今後生活に余裕ができたりすれば、支払い額の増額などを求められる事になります。
減額できるチャンス
そして、支払いを一定期間続けた後に、ローンを減額できるチャンスが生まれます。
そのチャンスは、債権が債権回収会社に譲渡された時に生まれます。
債権回収会社とは「サービサー」と呼ばれ、法務大臣から認可を受けた会社です。
サラ金とか怪しい会社等ではなく、ちゃんと国に認められた正式な機関です。
保証会社はある一定の期間が過ぎると、その債権をサービサーに譲渡します。
任意売却を行うと、その住宅ローンは「不良債権」となります。
保証会社としても不良債権の回収が簡単にいかないのは十分に分かっています。
ですがその不良債権は随時増えていく為、やがて全ての不良債権を回収するための労力を割く事ができなくなるので債権を「売り」に出します。
その不良債権を格安で保証会社から購入するのがサービサーです。(ちなみにサービサーは住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からの業務委託を受けて回収を受ける場合もあります。)
サービサーに債権が移った時にどう交渉するか?が非常に重要です。
このサービサー、残債支払いについては、まず最初に「一括返済が義務です」と債権全額の返済を請求してくるのが基本です。
当然、そんな金額は一気に支払う事ができないのはサービサーも100も承知のことですが敢えてそのように言ってくるのは、万が一でも全額払ってもらう事ができれば非常にラッキーだからです。
もちろん、一括で支払えないという方がほとんどですので、「一括で支払う事ができない」と伝えると、サービサーはすかさず次の妥協案を提案してきます。
例えば残債が300万円だったとしたら、月々約5万円の60回払いなど、無理をしたら何とか支払えるかもしれないという範囲の絶妙な金額を設定してきます。
一度断った相手に妥協案を提示されると、なかなか断りづらいという人間心理をうまく活用して話を進めてきます。
しかも、債権を持っているために、完全に力関係はサービサーが上という事もあり、ここで話を呑んでしまう方も少なくないのですが、ここで話を呑んでしまうとサービサーの思うツボです。
ここでも話を断る事ができれば、残債を減額する事ができるようになります。というのも、サービサー自身も他に沢山の不良債権抱えているため、1つの案件に集中している時間も手間もありません。
なので、サービサーは満額の回収を諦めて、「じゃあいくらなら支払えるのか?」といった交渉に出てくる事になるからです。
どうすれば残債を最大限に減額できるのか?
ですが、ここで満足をしてはいけません。
残債はまだまだ圧縮していく事が可能です。
サービサーとの交渉で、妥協案を勝ち取ったとしても、それでもサービサーは大きく利益が望める場合がほとんどなのです。
というのも、サービサーが債権を購入する金額は非常に格安で、本来の残債額の1%から10%程度だと言われています。
例えば、あなたに500万円の残債があったとしたら、サービサーはたったの5~50万円で債権を購入しているという事です。
なので、サービサーが「300万円にします」と妥協したとしても、彼らには約250万円の利益が残るという事です。
こう考えると、真面目に支払うのが非常にバカらしく感じてしまわないでしょうか?
つまり、サービサーにはまだまだ余力があるので、1度の妥協案で交渉を終わらせない事でさらなる妥協案を引き出し、残債を最大限に減額する事ができるのです。
また、支払い先が住宅金融支援機構、保証会社についても、資産状況や交渉次第ではローンを支払う必要自体がない状態に持っていく事も十分に可能です。
くれぐれも最初から多くの支払いをする約束をしないようにして下さい。
無理な金額を約束した後に、支払いが滞ってしまうと、最悪給与の差し押さえなどトラブルの原因になります。 保証会社等への支払いについては、生活に支障の無い範囲で支払っていけばなんら問題はありません。
だからこそ、冒頭のでご紹介した方は500万円の残債があるにもかかわらず、一切支払う事なく生活をする事ができています。
しかし、このように最大限に残債を減額するためには、やってはいけない間違いが2点あります。この2点の間違いをしてしまうと、残債を最大限に減額する事が困難になってしまいます。
残債を最大限に減額するためにやってはいけない間違い
なんでもやり方、方法がありますので、失敗しないためにもじっくり確認してください。
間違い① 残債を減額するために必要なサポートをしてくれない業者に任意売却を依頼してしまう
その間違いの1つが残債支払いについて、残債を減額するために必要なサポートをしてくれない業者に任意売却を依頼してしまうという間違いです。
任意売却後の残債支払いを減額するための交渉は、本人、もしくは弁護士が行わなければいけません。
ただ、弁護士に依頼するにも当然費用が発生しますし、そもそも弁護士に相談すると大抵の場合で自己破産を勧められてしまう事になるのであまりオススメできるものではありません。
ただし、自分で交渉するにしても難しい面があります。
サービサーもお金を回収するのが仕事なので、当然ですが、黙ってこちらの言い分ばかりを聞いてくれるハズがありません。
彼らはお金回収のプロです。
また、保証会社や住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)についても、いくら支払える範囲で支払えばいいと言われているからといって、「支払えません」と言いさえすれば、「はい、承知しました」と簡単に支払う必要がなくなるか?といえば、当然そんな事はありません。
なので、どちらにしても、支払えないという「理由」を用意し、事前に交渉方法について対策を練っておく必要があります。
ですが、任意売却業者の中には、こういった交渉のやり方についてサポートや相談を受け付けていない業者もいます。
そうなると何も知識の無い状態でプロと交渉しないといけない為、交渉に失敗する可能性が高くなってしまい、残債の減額ができなかったり、毎月の支払額が多くなり生活が苦しくなってしまう事になります。
なので、任意売却の依頼する際には、残債支払についての交渉方法はもちろん、保証会社等から書類が届いた時の対応の仕方など、任意売却後もその都度相談できるかどうか?を事前にしっかり確認をしてから任意売却を依頼するようにして下さい。
もし、交渉について「それは弁護士に相談して下さい」「私たちではアドバイスができない」とのことであれば、その業者には依頼をしない方が賢明です。
間違い②「残債を支払う必要なんてありません」と 言い切る業者に依頼してしまう
業者によっては、「任意売却をすれば、残債を支払う必要がない」と囁いてくる業者もいるのですが、これは大きな間違いです。
確かに、支払わずに済む可能性はあるのですが、これは100%ではありません。
その時の資産状況や交渉の仕方などの要件に左右される事になり、必ずしも支払う必要がなくなるわけではありませんし、残債は本来は支払うのが原則です。
ですが、こういった業者の話を信用してしまい、支払いを怠ってしまった事で残債を減額するどころか、債権者から「給与の差し押さえ」を強制執行されてしまったというケースは少なくありません。
差し押さえをされた事が会社の人間に知られてしまった事で、会社に居づらくなり、退職を余儀なくされてしまう方もいます。 残債を支払う必要がないという業者は、仕事欲しさにオーバートークをしている可能性が高いです。
後々、大きなトラブルになるので、惑わされないようにしましょう。
任意売却後の残債減額のまとめ
最後にこの記事をまとめると、任意売却を行う事で、支払い先は、保証会社、住宅金融支援機構、債権回収会社(サービサー)に変わります。
残債は「一括返済」がルールとなっていますが、これは建前です。相談をする事で分割払いに切り替える事ができます。
保証会社や住宅金融支援機構への支払いは月々0.5~3万円にする事ができます。ですが資産状況や交渉次第では支払いをしなくてすむ可能性もあります。 (100%支払わずにすむというわけではありません)
債権がサービサーに移った時が残債を最大限に減額するチャンスです。サービサーは債権を残債額のたった1~10%で購入しているという事実を忘れないで下さい。
サービサーの要求を簡単に呑んでしまうと、彼らの思う壺です。
残債の交渉は本人、または弁護士が行う事になります。
ただ、弁護士に依頼をすると費用もかかりますし、大抵の場合で強く自己破産を勧められてしまうので、交渉は本人が行うのが現実的です。
そのため、任意売却を依頼するにあたっては、残債支払いの交渉についてサポートをしてくれるかどうか?を事前に確認してから依頼するようにしましょう。
仕事欲しさに「任意売却をすれば残債を支払う必要はない」と断定してしまう業者もいます。
これは大きな間違いです。これを信用して支払いを怠ると後々大きなトラブルに発展する事になります。
最後に
任意売却をするにあたって、「残債の支払い」は多くの方が不安になるポイントであります。
しかし、しっかり交渉をすれば、月々0.5~3万円の支払いにできたり、そもそも支払わずに済む可能性もあるなど、新生活への負担を極力減らす事ができます。
任意売却公正協会では、単に、任意売却を成功させるだけでなく、残債を極力減らすための交渉までトータルにサポートを行なっております。
もし、任意売却後の残債支払いに不安がありましたら、一度、弊社にご相談下さい。
しつこい営業や売却をせまるような事は一切ありませんので、安心してお問い合わせ下さい。
任意売却について知りたい方は、任意売却コラムへ
【この記事を書いた人】
大学時代に自営業を営んでいた実家が競売直前に売却することなってしまった経験から「住宅ローンについて相談する場所が必要!」と痛感し、非営利団体を設立し『住宅ローン無料相談所』を開設しています。
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