コラム

任意売却で気になる費用負担はいくら?売却代金から捻出可能な費用も解説

住宅ローンの返済が難しくなり、どうにかして現状を打開したい。でも手元には十分な資金がなく、このまま破産するしか道はないのか…と同時に不安にもなりますよね。

そんなあなたにこそ知ってほしい、”任意売却”という選択肢があります。

任意売却は自分で選んで不動産を売却する手段で、競売に比べて得られる金額も多くなる可能性が高いです。

でも「任意売却って言っても、不動産会社にどれだけ費用を支払わなければならないの?」と心配になるかもしれませんね。

確かに、任意売却には手数料や諸経費が発生しますが、実は、それらは売却代金から支払うのが一般的です。

つまり、あなたが直接負担することはほとんどありません。

この記事では、そんな任意売却の費用や手続きについて解説します。任意売却を進める一歩を踏み出すための、不安を取り除くための知識を得ていきましょう。

 

任意売却に関する費用の事実

任意売却の話を聞くと、「難しそう」や「高額な費用がかかるのでは?」といった心配が頭をよぎるかもしれませんね。

特に住宅ローンの返済が厳しく、手元の資金が限られているときは、なおさらそう感じるでしょう。

でも安心してください。

確かに任意売却には手数料や諸経費が発生しますが、それらは売却代金から支払うのが一般的なんです。

この章では、任意売却の手数料や必要な現金準備についての詳しい解説や、気を付けるべき費用請求についてもお話しします。

知識を得て、安心して任意売却を進めるためのステップを一緒に踏んでいきましょう。

 

任意売却の手数料について

任意売却を考えているけれど、そこで実際にどれくらいの費用が必要なのか気になりますよね。

実は、任意売却で売主が不動産会社に支払うのは、仲介手数料だけなのです。

それ以外に余計な費用がかかることはありませんので、安心して進めていきましょう。

では、その仲介手数料は実際にどのくらいになるのでしょうか。

これは、不動産の売却価格によって変わります。

具体的には、宅地建物取引業法(宅建業法)で定められた以下のルールに基づきます。

・200万円までの部分:売却価格の5%+税
・200万円超400万円までの部分:売却価格の4%+税
・400万円超の部分:売却価格の3%+税

売却価格にこれらの率を適用し、速算式で計算すると、「売却価格×3%+6万」となります。

例えば、売却価格が1,200万円だった場合、手数料の上限は42万円となります。

こうして実際に計算してみると、思っていたよりもリーズナブルに感じるかもしれませんね。

 

任意売却時の現金準備の必要性

任意売却を進めるにあたり、「どれくらい現金を準備すればいいの?」と気になりますよね。

そこでまず知っておいてほしいのは、任意売却は債務整理とは違い、着手金や事前に支払う手数料は一切不要だということです。

依頼時に支払う相談料も必要ありません。

また、不動産会社への報酬も、物件が無事に売却できて売買契約が完了したときに、その売却代金から支払う形になります。

つまり、完全成功報酬制なので、例え売却がうまくいかなくても相談料といった費用は発生しない仕組みとなっています。

ただし、生活を続けるための現金準備は必要です。

任意売却により引越し費用や新居の初期費用がもらえるといった情報を見かけますが、全てのケースにおいて引越し費用が捻出されるとは限りませんので、もし引越し費用が捻出されなかったとしても大丈夫なように現金を用意しておいた方が良いです。

また、売却が完了するまでの生活費などを忘れずに計画に入れましょう。

これらの費用をしっかりと把握し、計画的に準備することで、任意売却を無理なく進めていけますよ。

 

警戒すべき費用請求とは?

さて、任意売却を進める際には、「警戒すべき費用請求」もあります。

これは一体何のことでしょうか。

例えば、任意売却の相談を始めると、「債務整理のように着手金が必要」や「成功報酬以外にも手数料がかかる」といった、実際には必要のない費用を請求してくる業者がいることもあります。

そういった悪徳業者は、残念ながら実在します。

しかし、正しく理解しておいてください。

任意売却は完全成功報酬制で、売買契約が成立した時点で初めて報酬が発生します。

それ以外の費用を前もって請求する業者は、不当な手数料を取る可能性があるため注意が必要です。

もし、そんな状況に遭遇したら、別の信頼できる専門家に相談することをお勧めします。

負担を増やすことなく、スムーズに任意売却を進めるために、警戒すべき費用請求についてはしっかりと理解しておきましょう。

 

任意売却と売却代金から捻出できる費用

それでは次に、任意売却と売却代金から捻出できる費用について見ていきましょう。

任意売却を進める際には、諸経費など、様々な費用が発生しますが、これらの費用は一般的に売却代金から支払われます。

しかし、「売却代金から捻出できる費用って何?」と思うかもしれませんね。

その費用となこの章では、どういった費用が売却代金から捻出できるのかについて解説します。

これらの情報を把握することで、これから何が必要で何が不要になるのか、自身の経済状況と照らし合わせて把握し、任意売却を無理なく進めるための準備の一助となれば嬉しいです。

 

売却に伴う手数料や諸経費とは?

冒頭で売却に伴う諸経費と記載しましたが、「それって何?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

そこでここでは、売却に伴ってどのような経費が発生するのか、具体的に説明していきましょう。

まず、「諸経費」とは、物件を売却する際に発生する各種の手数料や税金のことを指します。

例えば、不動産会社への仲介手数料や、抵当権の抹消にかかる登録免許税、売買契約書の印紙税、登記手続きを依頼した司法書士への報酬(1万円程度)などがそれに当たります。

抵当権の抹消に必要な費用は以下のものが挙げられます。

費用項目 金額(円) 詳細
登録免許税 1,000 不動産1つにつき
登録情報代 335 事前調査費用1件につき
登記情報代 600 登記官押印後の証明書1件につき
郵送料  –  書留料金など

売買契約書の印紙税は売買価格により変動がありますが、以下の通です。

売買価格 本則税額 軽減税額
100万円〜500万円以下 2,000円 1,000円
500万円〜1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円〜5,000万円以下 2万円 1万円
1億円以下 6万円 3万円
5億円以下 10万円 6万円
10億円以下 20万円 16万円
50億円以下 40万円 32万円

これらの費用は売却価格から差し引かれ、残った金額があなたに支払われます。

ですから、売却価格を決める際や、次の住まいを探す際には、これらの諸経費を忘れずに計算に入れておきましょう。

任意売却をスムーズに進めるためには、しっかりとした理解が必要ですね。

 

滞納中の各種税金も一部売却代金から持ち出せる場合がある

任意売却を考えている方の中には、住宅ローンの滞納だけでなく、固定資産税や都市計画税など、各種の税金を滞納している方も多いのではないでしょうか。

そんな時、気になるのが「これらの滞納税金、任意売却の際にはどうなるの?」ということですよね。

実は、これらの滞納税金も、売却代金から一部捻出して支払うことが可能な場合があります。

つまり、任意売却を進めることで、税金滞納の問題を一緒に解決する道が開けるわけです。

これは非常に大きなメリットと言えますね。

ただし、全てがうまくいくわけではありません。

債権者から持ち出しの同意が得られない場合もがあるからです。

そのため、具体的な対応については専門家へ相談することを強くおすすめします。

一見複雑に思える問題も、専門家のアドバイスを得ることで解決への道筋が見えてきます。

任意売却は、税金の滞納問題を一緒に解決するための一つの手段だということを覚えておきましょう。

 

管理費・修繕積立費の扱い

マンションを所有している方の中には、「管理費や修繕積立費を滞納してしまっているけど、任意売却をする場合、これらの滞納分はどうなるの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

実は、これらの滞納分も売却代金から一部を持ち出して清算できることが多いです。

なぜなら、管理費や修繕積立費を清算できなければ、そもそもマンションの売却自体が難しいことがほとんどだからです。

売却すると、これらの支払い義務は新たなオーナーである買主に引き継がれます。

ただ、滞納分まで負担してまで購入したいと思う買主はほぼいません。

そのため、滞納分を清算しないと買い手がつかないため、金融機関も持ち出しに同意してくれることが多いのです。

ただし、滞納分が多額だったり、売却価格に占める割合が高すぎる場合には、同意が得られないこともあります。

ですから、具体的な手続きを進める前に、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。

 

引越し費用とその捻出方法

任意売却を考えている方は、新たな住まいへの引っ越し費用についても頭を悩ませていることでしょう。

そのような方々にとって朗報なのが、引越し費用も売却代金から一部捻出できるということです。

ただ、この情報に安心しきらず、一つ覚えておいてほしいことがあります。

それは、引越し費用の持ち出しについては、債権者の同意が必要であるという事実です。

そして、この同意は必ずしも得られるというわけではなく、多くの場合、不動産会社の交渉力次第により成否が左右されてしまいます。

債権者にとって、売却代金から引越し代を出すのは義務ではありません、ですので、売却代金から引越し費用が捻出できた多くの場合、それはあくまでも債権者の善意によるものだと言えます。

しかし、住宅ローンの返済ができないほど困窮しているという現状を債権者も理解しています。

だからこそ、どうしても資金が足りずに引っ越せないという逼迫した状況を誠心誠意伝えることで、引越し代を認めてくれる場合もあります。

また、「引っ越し費用全額持ち出しOK」「100万円持ち出し可能」などと謳う不動産会社も存在しますが、これらは依頼を集めるための誘い文句であり、真実とは異なることが多いので注意が必要です。

引っ越し代を出してもらうためのポイントとしては、「債権者との信頼関係を築く」こと、「任意売却の実績があり信頼できる不動産会社に依頼する」ことが挙げられます。

そして何よりも、不動産をできる限り高く売却する努力が取引全体を円滑に進行させます。

任意売却は大変なプロセスかもしれませんが、適切な知識と戦略で必ず乗り越えられる道筋があります。あきらめずに、最善の選択をしましょう。

 

任意売却で特別な費用が発生するシチュエーション

任意売却を進めていく中で、必ずしも全ての方が経験するわけではないですが、特別な費用が発生するケースもあります。

これはいわゆる「特例的な状況」で、通常の売却プロセスとは異なる費用や手続きが発生する場合を指します。

これらは債権者に認められない特別費用であり、その発生は予測しにくいものです。

しかし、こんな場合もあるんだと知っておけば、万全の準備をすることも可能です。

差押えが存在する場合や、登記識別情報が紛失してしまった場合など、想定外のシチュエーションにも臆せず対応できるように、これら特別なケースについてもしっかりと理解しておきましょう。

 

差押えが存在する場合

任意売却を検討する際、特に気をつけなければいけないのが「差押え」の存在です。

これはローン返済の長期滞納や税金滞納などが原因となって発生します。

もし差押えがある状態で任意売却を進めようとした場合、移転登記ができないという問題に直面します。

これは大きな障害となり、売却を進める上で重要なポイントとなります。

そのため、差押えがある場合は、この状態を解除する必要があります。

そしてそのためには「差押え解除費用」が発生します。

これは差押えを行っている債権者へ支払う費用であり、この支払いにより差押えを解除することが可能となります。

ただし、解除するためには滞納した借入や税金を完済しないといけないので、そもそもお金が無い状況で滞納が生じている現状では、かなりハードルが高いと言えるでしょう。

そのような状況にならないためにも、住宅ローン等が滞納してしまう状況になった場合、差し押さえられてしまう前の段階で早めに任意売却を進めるよう心がけるのが重要です。

 

登記識別情報紛失による影響

あなたが任意売却を進めたいと思ったとき、大切な「登記識別情報」が手元にないという状況に直面していた場合、次のステップに進むことができません。

そんな困った状況に陥ったときに必要となるのが、「本人確認情報」の提供です。

これは、専門家である司法書士さんに依頼して作成しますが、その費用として5万円~10万円ほどが必要となります。

しかしここで注意が必要なのが、売却代金からこの費用を捻出することが、債権者になかなか認められないという点です。

つまり、もし登記識別情報を紛失していた場合、この費用をどう調達するか、という課題を解決しなければならなくなってしまいます。

任意売却は、予期せぬトラブルに遭遇しても乗り越えていく力が求められます。

登記識別情報紛失という問題もその一つです。

初めての経験で戸惑うこともあるでしょうが、しっかりと対処していけば、あなたの任意売却は確実に前進することでしょう。

 

まとめ

任意売却は、一見すると費用がかかりそうで手元に資金が無い場合は諦めてしまいがちになりますが、今まで紹介したポイントを頭に入れておけば、実はそうではなかったということがご理解いただけたかと思います。

まず大切なことは、任意売却に伴う費用が何なのかを理解すること。

次に、売却代金から捻出できる費用が何なのかを把握すること。

滞納税金や管理費・修繕積立費など、一部の費用は売却代金から捻出可能です。

しかし、登記識別情報の紛失による費用は債権者から認められにくいため、注意が必要です。

そして、任意売却の実績があり信頼できる不動産会社に依頼することも重要であることをお伝えさせていただきました。

最後に、任意売却の経験者の話を聞くこともおすすめです。

これまで当協会が受け持った任意売却事例が掲載されているページがありますので、こちらも併せて読まれることをおすすめします。

彼らの経験談や教訓から、自身の任意売却をスムーズに進めるヒントを得られるでしょう。

いくつものステップを踏んで進める任意売却ですが、一つ一つを丁寧にこなすことで、きっと成功へと導くことができます。

初めての経験だからこそ、このガイドを参考にしっかりと準備をして、任意売却を着実に成功させていきましょう。

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